襖絵プロジェクトとは?
平成26(2014)年建仁寺開山栄西禅師800遠忌を迎え、当院では後世に残る絵画を制作するプロジェクトを進めてまいりました。
当プロジェクトは、如拙、長谷川等伯、伊藤若冲たちの当院に伝わる寺宝に比肩する芸術を創作し、禅院絵画の持つ文化と哲学を未来へ継承していく事業であります。
制作の担い手は、中国の浙江省寧波市で「雪舟の再来」と讃えられ、雪舟と同じ「天童第一座」の称号をも授けられた道釈画家の七類堂天谿氏に依頼しました。
道釈画とは、水墨画の中で道教と釈教(仏教)の教義・画題を描き示すものであります。道教の特質をも取り入れた仏教こそが、禅宗と考えれば、墨と水のみを使って禅の境涯を描き示すものと定義できます。
制作計画の全貌は、長い年月をかけて方丈の襖、腰襖、壁面、床の間の計92面を埋め尽くす水墨画の障壁画群の完成を目指します。
障壁画によって室内を単に装飾するという意味ではなく、思想や哲学を伝承する為の絵画であり、目には見えない神妙で幽玄な気配をそこにもたらすためのものと考えております。
当院に現在する方丈は、嘉永(1848~1855)年間に再建されたものです。先日来、建築物としての文化的または歴史的価値の評価により京都府指定文化財に登録を検討するための調査が進められています。
再建以来約160年間、障壁画が描かれたことはない為、歴史的新たな一歩となります。
平成26(2014)年7月5日、第一期プロジェクトとして方丈三間の正面部分16面が完成いたしました。次なる第二期プロジェクトは、正面三間を間仕切る襖東側4枚西側4枚のあわせて8枚の表裏面合計16面の制作を進めております。
絵師
道釈画家七類堂 天谿 SHICHIRUIDO Tenkei
雪舟以来540年。2006年、中国南宋五山の巨刹、天童寺から「天童第一座」の称号を授与され、「東海の今画聖」と謳われた日本人道釈画家