8月の禅語御朱印直書き会
8月の禅語御朱印直書き会のご案内です。参加は予約不要です。
8月の開催は、
8月1日(木)11:30~13:00
8月15日(木)10:00~12:00
※日程が合わず来院できない月があった方は、もしご希望であれば月を遡って抜けた月の分の禅語も書かせていただきます。いらした際にお声がけください。
8月のテーマは一雨潤千山(いちうせんざんをうるおす)です。
ひとしきりの雨があらゆる山を潤す。
熱せられ乾き切った地に恵みの雨が降りそそぎ、潤いを取り戻して、植物が生き生きと蘇る。爽やかな夏の情景を表した禅語と解釈されています。
私はこの禅語にふれると、酷暑の夕立を思い起こします。
強い日差しに一日中晒され、あらゆるものが熱せられ乾き切った酷暑の夕方。みるみるうちに空に黒い雲が立ち込め、さっきまでの日差しが嘘のように辺りは暗くなり、そしてゴロゴロと腹に響く雷鳴とともに、突然大粒の雨が打ち付けはじめます。
まさにバケツをひっくり返したような雨。屋根からは滝のように水が流れ落ち、道路や庭に川のような流れが生まれます。
しかし、あっという間に雨足は弱まり、立ち込めていた分厚い雲もいつの間にか去り、雲間から強い日差しが一筋また一筋と、地面を照らし出します。
そして、濡れた地面や植物、家々の屋根や道路、あらゆるものが日差しに照らされ、まるで世界が生まれ変わったかのように潤い、輝いている光景が目に映ります。
恵みの雨は乾き切ったあらゆるものに潤いを与え、またみずみずしく世界がはじまる。
そして私は世界の美しさを改めて目にする。そんな光景を思い出すのです。
この壮大で美しい光景は、なにも特別なものではありません。
日々巡る大自然のいとなみの一部、当たり前の光景なのです。
そんな大きな命の巡りの一部に私も在るという事実に、改めて感動し、感謝します。
夏の夕立が通り過ぎる雨宿りのあいだに、思い出してほしい禅語です。
2024年8月 葉月
両足院徒弟
品部東晟