2026.10.08

暦のお便り「寒露」〜小さな気配に、秋を知る

10月8日、暦は「寒露」を迎えます。


寒露とは、草木に宿る露が、朝の冷え込みによって冷たさを増す頃です。
秋の訪れというと、鮮やかな紅葉を思い浮かべるかもしれません。しかし季節は、目を引く景色になる前から、静かにその姿を変えています。
葉の先に結ばれた一粒の露。
少し低くなった空。
石畳を渡る風。
夕暮れに近づいてきた虫の声。


禅の言葉に、
「一葉落知天下秋」
一葉落ちて、天下の秋を知る
という言葉があります。
一枚の葉が落ちる姿から、天地をめぐる大きな季節の変化を知る。小さな出来事の中に、世界全体の動きを見るまなざしです。


私たちは、分かりやすい変化や大きな出来事に心を奪われがちです。けれども、ほんのわずかな気配に立ち止まると、すでに多くのものが移ろい始めていることに気づきます。
両足院の庭にも、同じ一日はありません。
今朝の露、今日の光、今ここを通り過ぎた風。それらは、二度と同じ姿では戻ってこないものです。
寒露の頃、少しだけ歩みを緩めてみてください。
足元の一枚の葉や、窓辺に届く虫の声に、今の季節がすべて表れているかもしれません。

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